第2章 現在の首都圏の葬儀業者
第3節 葬儀社の顧客を獲得する仕組み
次に、葬儀の数が増えても、遺族と契約を結ばなければ、葬儀社は儲けをうむことはできない。特に都市部の葬儀社の、遺族から受注を受けるシステムを検証していく。
葬儀業者も他の業種と同じように、顧客の獲得が悩ましい課題であるようである。広告や看板などを出し販促を行っているが、実際は人々にその葬儀社のイメージを植え付けることくらいしかできず、直接的に購買行動に移るというものではない。
しかし一部の葬儀社はもっと確実性の高い顧客を確保する方法を行っている。
それは病院と警察の指定業者になり患者が亡くなった際に病院が指定葬儀業者を紹介してくる、というシステムを利用することである。
病院と葬儀業者は常に一心同体の関係で、顧客獲得の確率は他の方法と比べて極めて高いと言える。
また、事故や事件などでの死亡の場合は警察指定の葬儀業者となるが、それも同様のシステムである
しかし病院あるいは警察の指定葬儀社になるには、24時間 365日いつでもすぐに対応できる (遺体の運搬葬儀の打ち合わせなどを行える) 専従者を常時1~2名待機させておく必要があり、指定葬儀者には、いつでも顧客を獲得できるメリットはあるが、それだけ人件費も多くかかるというデメリットもある。
それゆえ、資本力のある大手の葬儀業者しかできないという現象が生まれてきている。