お別れの儀
ご葬儀が終わりまして出棺に先立って、遺族・関係者による遺体との最後の対面が行われます。この場面は最後の別れのときであり遺族の愛惜の気持ちが露出し、動揺するときですから、その気持ちに配慮して慎重に対応しなければなりません。
葬儀が事務的に扱われた、急がせられた、という印象を与えられないように注意する必要があると同時に、葬儀が終わっても未練が残るものですから、切り上げるときには明確にするひつようがあります。
棺に入れる生花は「別れ花」ともいわれます。葬儀の時、通常は飾られていた生花を入れやすいように小さく分け、おぼんに載せて準備し、係員が遺族・関係者に手渡します。
葬儀後、棺に蓋をした後、くぎ打ちをすることがあります。昔は道が外れて遺体が外に出ないように縄で縛りましたが、いつの頃からか蓋をくぎで留め、それに遺族が参加して小石でくぎを打つという習俗ができました。
死霊が外に出ないように封じるという死霊に対する恐怖感のなせるものであったと同時に、また、石には呪力があると信じられたことから死者を悪霊から守るために行うとも考えられています。遺族自ら釘を打つことで死者の蘇生を断念するという意味も合ったでしょう。
現在では棺の蓋もすぐにははずれない構造になっていて、実用的な意味はなくなっています。したがって、習俗の意味と遺族の心理を考えると葬儀で釘打ちをすべきでないとする意見もあります。
葬儀で、釘打ちをする場合には、葬儀社の方がまず金槌で半分打ち、その後遺族が血縁の順に小石で軽く2回ずつ打ち、最後に葬儀社の方が金槌で封じるのが一般的です。
(現在の葬儀では釘打ちの儀は少なくなっています。)