葬儀後の出棺 ( 葬儀後の出棺の習俗 )
葬儀終了後自宅からの出棺の場合、古くからの習俗として、玄関からではなく窓や縁側などから出したり、仮の門を設けてそこから棺を出すことがあります。
葬儀では死霊に対する恐怖心から、死霊が再び家に戻ることのないようにとの気持ちの表れであるとか、死は非日常の事柄であり日常とは逆の事をするので、通常の出入り口である玄関は用いないなどと説明されています。
また、葬儀後出棺にあたって故人が生前使っていた茶碗を割ることがあります。これも死霊に対する恐怖心から死霊が再び戻らないようにするためであるとか、あの世はこの世とは逆なので、あの世で使用できるようにするなどと説明されています。 と同時に、葬儀において死者の蘇生を断念するための行為であったと思われます。
葬儀後出棺に先立ち、集まってきた人に供養品を配ったり、撒いたりする習慣もあります。
このほか、葬儀に関してさなざまの習俗が各地に伝えられています。
子供が親より先に死んだ場合には「逆縁」だからと親は葬儀の後火葬場に行かない、配偶者が亡くなったばあいには再婚の意思ある女性は葬儀後火葬場にいかないなど、各地でさまざまな言い伝えがあります。
但し、これらの習俗、言い伝えは必ずしも正しいものばかりとは限りませんので、「習わし」ということで強制することは誤りです。
特に子供をなくした親が葬儀後火葬場に行かないというのは、習俗の意味は悲嘆にくれる親をくるしませないための配慮でしょうが、悲しみにある者を悲しみからのがれさせることは、むしろその心の傷を大きくすることもあり、精神医学的にはまちがった考えとされています。
葬儀後の出棺 ( 葬儀後の出棺の習俗 )